博多もつ鍋 蔵元
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蔵元の物語

昭和五十三年、博多・中洲。「もつを、ごちそうにしたい」という願いから始まった一鍋の話を、創業からの歩み、三つの矜持、素材、そして親方の手しごととともにご紹介します。

序 博多の一鍋へ

福岡の冬を、
福岡らしくする鍋。

昭和五十三年、博多・中洲。初代・蔵田源三が「もつ鍋 蔵元」の看板を掲げました。当時、もつは安く扱われる臓物。それを、ごちそうにしたい——その願いから、蔵元は始まりました。

選ぶのは九州産黒毛和牛の小腸だけ。磨きに磨いて臭みを消し、脂の旨みだけを引き出す。継ぎ足しの醤油ダレに、糸島から届く朝採りのキャベツとニラ。たったそれだけの、誤魔化しのきかない一鍋です。

四十六年。変わらない味を求めて、地元の常連も、海外からのお客様も暖簾をくぐります。「変わらないために、毎日変わり続ける」。二代目・蔵田重蔵の口癖とともに、今日もまた、夜の中洲に湯気が立ちます。

夜の中洲の路地に掛かる暖簾
創業昭和五十三年(1978)
初代初代 蔵田 源三
当代二代目 蔵田 重蔵
所在地福岡県福岡市博多区中洲
受賞食べログ百名店 2023 / 2024
掲載dancyu/Hanako/NHK
蔵元の三つの矜持

変わらないために、
守り続けている、三つのこと。

流行で味を変えず、部位を増やさず、手間を惜しまない。同じ味を守る、三つの矜持。

01.

一片ずつ、磨く小腸

毎朝五時、市場から届く小腸を、職人が一片ずつ手で磨き上げます。流水と粗塩で四度、最後に焼酎で一度。下処理に三時間。だから、噛んだ瞬間、臭みは一切なく、脂の旨みだけが舌に残ります。機械洗浄は一切しません。

職人が小腸を手磨きする手元
02.

四十六年の継ぎ足し

創業の日に仕込んだ醤油ダレを、毎日継ぎ足して使い続けています。九州産丸大豆醤油、博多の地酒、本鰹節と利尻昆布、生姜と青唐辛子。年月だけが出せる、香りと深さ。鍋を頂いた後、つい飲み干したくなる、あの味の正体です。

継ぎ足し醤油スープの泡と脂
03.

朝採り野菜だけを

糸島の契約農家から、朝採りのキャベツ・ニラ・もやし・ごぼうのみを使います。前日のもの、配送に時間のかかったものは一切使いません。みずみずしさが、もつの脂を受け止め、鍋全体の重さを消してくれます。

朝採りキャベツとニラ
素材の話

わずか四種で、
勝負しています。

もつ、スープ、野菜、〆。たった四つだから、一つも誤魔化さない。生産者のお名前まで記します。

下処理済みの九州産黒毛和牛小腸
01. もつ

九州産黒毛和牛
特撰小腸

小腸(コプチャン/マルチョウ)のみを使用。脂の質と弾力で部位を見極め、毎朝市場で職人が手選びします。佐賀県・大島畜産より直送。

生産者
大島畜産(佐賀)
部位
小腸 100%
分量
120g/人前
下処理
朝3時間 手磨き
継ぎ足し醤油の壺と出汁素材
02. スープ

四十六年の
継ぎ足し醤油

九州産丸大豆醤油、本鰹節、利尻昆布、生姜、青唐辛子。創業の日の壺を、毎日継ぎ足して育てています。レシピは紙に書きません。

醤油
九州産 丸大豆
鰹節
本枯節(鹿児島)
昆布
利尻 一等
熟成
1978年〜継続
木箱に並ぶ糸島の朝採りキャベツ
03. 野菜

糸島・朝採り
キャベツとニラ

毎朝四時、糸島の畑から直送されたものだけを使います。葉の厚みと甘み、ニラの香り。鍋の上半分を、まるごと任せる素材です。

農園
古川農園(糸島)
収穫
当日朝採り
キャベツ
春系・冬系で切替
ニラ
葉幅 8mm 基準
〆の博多生麺と雑炊の素材
04. 〆

博多生麺
雑炊にもできます

残ったスープに、博多の老舗・西山製麺所の特注生麺をしっかり絡めて。雑炊派には、佐賀ヒノヒカリと京の九条葱、香の物を添えて。

西山製麺所 特注
佐賀ヒノヒカリ
糸島あかね卵
仕上げ
仲居が雑炊仕立て
親方の手しごと

二代目、蔵田 重蔵。

二代目親方の横顔

蔵田 重蔵二代目親方 ・ 昭和三十三年生まれ

昭和三十三年、博多に生まれる。父・源三の鍋を見て育ち、十九歳で同店に入る。父の逝去にあたり二代目を継承。以来三十二年、毎朝五時に厨房に立ち続けている。「もつは、磨いた分だけ正直に応えてくれる」が口癖。福岡県認定・博多伝統食継承マイスター(2019年)。

流行を追えば、味は変えなくちゃならない。
うちは、変えない。だから、変わらないために、毎日変わり続けるしかない。

1958
博多生まれ。屋台と魚市場のあいだで育つ。
1977
父・源三の蔵元に入店。下処理の見習いから始める。
1994
父の逝去により二代目を継承。
2008
『dancyu』もつ鍋特集 表紙を飾る。
2019
福岡県・博多伝統食継承マイスターに認定。
2023
食べログ百名店 初選出。以後連続。
メディア掲載

メディア掲載。

ありがたいことに、たくさんの媒体さまにご紹介いただきました。最新のものから順に。

2026.04

雑誌 / dancyu 2026年6月号

特集「もつ鍋の真髄」創業46年、博多もつ鍋の真打ちとして、二代目親方の手仕事を六ページにわたり特集いただきました。表紙に醤油もつ鍋の俯瞰写真。

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2025.11

テレビ / NHK福岡「九州人気店の流儀」

25分の密着ドキュメンタリー毎朝の小腸の手磨き、継ぎ足し醤油の壺、糸島の畑までを一日かけて密着取材いただきました。再放送:BS1 / 2025年12月。

公式ページ →
2025.07

雑誌 / Hanako 福岡特集

「中洲で本物に出会う十軒」福岡に二日いるなら、必ず行ってほしい十軒の筆頭としてご紹介。胡麻鯖と醤油もつ鍋のセットが見開きで掲載。

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2024.10

受賞 / 食べログ もつ鍋 百名店

2023・2024 連続選出食べログ「もつ鍋 百名店」に二年連続で選出いただきました。福岡県内からは年間 8 軒のみの選出。

受賞ページ →
2024.05

ウェブ / JAL機内誌 SKYWARD

「博多、鍋の街」JAL機内誌の英語版にて、博多もつ鍋文化の代表として 8 ページの特集。海外からのお客様増加のきっかけに。

記事を読む →
2023.02

書籍 / 西日本新聞社 刊『博多の鍋』

巻頭インタビュー 二代目親方博多の鍋文化を網羅したムック本にて、巻頭インタビュー。「もつ」の歴史を語る二十ページ。

書籍紹介 →
皆さまの声

お客様の声

★★★★★

もつ鍋は油っぽくて重い、という先入観が、一口で変わりました。三人で行って、味噌・醤油・塩を一鍋ずつ。最後の雑炊までスープが一滴も残らなかったのは、人生で初めての経験です。

— Y様 / 東京・40代男性 / 出張

★★★★★

両親の結婚四十年のお祝いで、糸島のお部屋を。仲居さんが鍋を炊いてくださる手つきが本当に美しく、両親が涙ぐんでいました。福岡の本物を、家族に見せられた夜でした。

— K様 / 福岡・30代女性 / 家族会食

★★★★★

香港から年に二回、蔵元のためだけに福岡に来ています。何度食べても、最初の一口の香りで泣きそうになる。一鍋に向き合う料理人の真剣が、ここにあります。

— C様 / 香港 / 常連のお客様