奥久慈の銘柄鶏「奥久慈軍鶏」をはじめ、薩摩、名古屋、阿波尾鶏、丹波黒、宮崎地頭鶏など、季節と気温に合わせて全国の地鶏を一羽単位で仕入れています。捌きから熟成まで、すべて店内仕込み。一本に使えるのは、その日入った数本だけです。
HERITAGE CHICKEN ON HINOKI
焼鳥は、ごく小さな料理です。その一切れに宿る、地鶏・炭・人の手。鳥燈が二十年近く守り続けてきた三つの軸と、火の前に立つ焼師の歩みを綴ります。
ひと串に、
一羽の命と、
ひと夜の時間が宿る。
たった一切れの肉が、串に通され、炭の上で姿を変えていく。けれどその一切れには、地鶏を育てた山の風、炭を焼いた職人の朝、そして火の前に立ち続けた焼師の数十年が、確かに溶けている。
鳥燈は、その小ささをこそ守りたかった。十二席、お任せ十二本前後。多くを語らず、一本ずつ、目の前で。串の打ち方、塩の置き方、火との距離。すべてに理由があり、すべてに揺らぎがある。
真夏の宵には涼やかなビールを、雪の降る夜には澄み切った純米吟醸を。料理は変わらず、酒だけが季節を移していく。お客様にとっての一夜が、ご自身の一年のどこかに、静かに灯り続けることを願って。
派手なものではありません。ただ、長く通っていただける焼鳥屋でありたいと、それだけを思っております。
焼鳥 鳥燈 / 店主・焼師 桐生 修平
焼鳥は派手ではない。だからこそ、素材・火・人、その三点に妥協は許されない。鳥燈が二十年近く磨き続けてきた、三つの軸を紹介します。
奥久慈の銘柄鶏「奥久慈軍鶏」をはじめ、薩摩、名古屋、阿波尾鶏、丹波黒、宮崎地頭鶏など、季節と気温に合わせて全国の地鶏を一羽単位で仕入れています。捌きから熟成まで、すべて店内仕込み。一本に使えるのは、その日入った数本だけです。
和歌山・田辺の備長炭職人から、白炭の最上等級のみを直送で。叩けば澄んだ金属音、火床に並べれば一切の煙を立てず、八〇〇度を超える遠赤外線が、鶏の脂を一気に弾けさせます。火だけで、肉の輪郭が立ち上がる。それが備長炭の仕事です。
串打ち三年、焼き一生と申します。鳥燈ではすべての串を、焼師がその夜、目の前で打ちます。肉の厚さ、脂の位置、皮の張り。同じ部位は二つとなく、答えは毎回違う。だから機械では替えが利かないのです。火と肉と職人の、三者の対話を、どうかお席のすぐ向こうで。
「焼鳥は、肉と火の、ほんのわずかな距離の話です。」
京都・中京の料亭にて板場の修行を経たのち、東京・神田の名店「鳥嘉」にて十年。二〇一二年、銀座八丁目に鳥燈を開店。地鶏一羽買い、紀州備長炭、当日打ちを開業以来貫き、二〇一八年よりミシュランガイド東京 一つ星を継続。
「火加減は、毎晩違うんです。湿度、お客様の進み、自分の体調。だからこそ、機械には任せられないし、目を離してもいけない。」