ヒレの最中央部、一頭よりわずか600gのみ。芯温58℃で仕上げる、肉の絹。
一片の肉に、
職人の時間と、
土地の記憶を宿す。
1978年、銀座の路地裏に小さな炭火店を構えてより、私たちは「焼肉」という料理を、日本の食文化のひとつの極へと磨き上げることを生涯の仕事と定めて参りました。和牛の血統、熟成の時、塩の粒度、備長炭の含水率――数百の条件を毎日整え、客人の前で初めて完成する一皿。
ここに来てくださる方の人生の節目に、静かに寄り添う一夜であること。それが、私たち燔の何より大切にしている矜持でございます。
職人が肉と対話して選び抜いた、一頭から十二の部位のみ。脂と繊維、熟成を見極め、部位ごとに火加減と切りを変えてご提供いたします。
ヒレの最中央部、一頭よりわずか600gのみ。芯温58℃で仕上げる、肉の絹。
肩ロースの花。霜降りが座布団のごとく敷かれ、口中で溶ける幸福。
舌の根元のみ。歯触りは絹豆腐、香りは焦がしバター。レモンと岩塩で。
もも肉の白眉。三角の小さな赤身に、繊細な霜が降る。割下を纏わせて。
横隔膜の華。噛むほどに肉本来の旨味が湧く、玄人好みの一品。
肩甲骨内側の小宇宙。一頭から二人前のみ。葉脈状の脂、芸術品の一切。
熱を帯びた肉に、冷たい一献を。
氷点下のジョッキに注がれる生ビール、燗の頃合いを見極めた純米吟醸、
そして肉の余韻を引き上げるブルゴーニュを。

ジョッキは氷点下-2℃で冷却。
注ぎ手が三度に分けて作り上げる、緻密で長持ちする泡。
脂の余韻を瞬時に洗い流す、当店の流儀のはじまりの一杯。

全国の蔵元から、肉のために選び抜いた18銘柄。
人肌燗から雪冷えまで、温度で表情を変える日本酒の妙を。
漆黒の煤板に燻し銀の金具、京の唐紙。無煙ロースターで香りだけを残します。客席は三十二席、すべてに炭火の灯りが届きます。
四室それぞれに四季の名を冠し、専属の焼き手が立ちます。
京唐紙に淡桜の文様。少人数のお祝い事に最適な、最も静かな一室。
金箔の天井に揺らぐ間接灯。接待・会食での評価が最も高い一室。
銘木の朱色卓と一面の硝子壁。少し贅沢な家族会食、誕生日の宴に。
十七歳で大阪の老舗焼肉店に入り、東京で店を持つまで二十二年。私たちの仕事は派手なものではありません。炭を熾し、肉を見て、客人の表情を見る。それだけのことを毎日繰り返してまいりました。
私が焼く一片は、私の人生の一片です。どうか、ゆっくりとお召し上がりください。
おひとりさまから八名さま、個室と炭火カウンターをご用意。
接待・記念日・節目の宴、特別なお席のご相談も承ります。